第二十四編 [装甲悪鬼村正 魔界編(感想)]
今月の装甲悪鬼村正 魔界編
第二十四編の感想です。
柳生十兵衛戦、遂に決着!!
◆真影目録 天貫
前回電磁曲芸にて三池の月影を封じ、十兵衛さんの視力を奪い、これでトドメと電磁抜刀"穿"を放った湊斗さんですが、目の効かぬ十兵衛さんは果たしてどう対するのか──────
穿を受け止めた!?
地上で合当理まで噴射して踏ん張っておりますが、恐らくは刹那か極々短時間の出来事なのでは無いかなと思います。理由は、後で判明する三池の損傷の程を見てもらえれば分かるかと。
「天貫!!!!」
僅かな間だけ穿を留めたかと思うと即座に合当理を切り、膝を曲げて腰を沈めつつ電磁抜刀を受け流し、その威力を地面に逃がすという超離れ業をやってのけてしまいました…。
視力を失って尚、これほどの神業を成功させるとは…。この人剣豪どころか剣聖レベルなんじゃ…。
なにせゲーム本編では電磁抜刀について、
「裂光の太刀筋……磁力反発を利して為す神速の抜刀」
「そればかりは光の眼をもってしても視えぬ。躱すも防ぐも成るまいな」
と天才・光も仰っているわけで。
電磁抜刀を放たれた上で即死に至らなかった状況というのは、本編だと英雄補正で受け止めたり(その後真っ二つにされましたが)、魔眼で即死コースだけは免れたり、相討ちに持ち込んで威力を相殺したりとその他幾つか上げられますが、正面から剣技を以って受け流した例は無かったように思います(あってたまるかい!)。…しかも心眼で。
さて、湊斗さんが大地に炸裂した穿の爆発から身を守る為に磁装・負極を使わざる負えなかったのに対し、防御手段を持たない十兵衛さんはと言うと、
≪右前腕甲鉄に損傷。筋に若干の被害≫
損傷らしい損傷は穿を受け流した際のモノのみ(たったこれだけとかどんだけ…)。爆発による被害は特に無いように見受けられます。
両者のこの違いはどういう事なのでしょうか。
十兵衛さんが繰り出した天貫、先程は「受け流した」と表現しましたが、もう少し詳しく分析してみます。
劇中の描写から推測するに、瞬刹の間だけ受け止めた電磁抜刀を、入神とも言える絶妙の剣捌き、体捌きを以って受け流し、更には自らの太刀にその勢いを乗せて地面に逃がした────つまり湊斗さんからすれば、眼前で十兵衛さんが大地に向かって穿を放ったような状況になったのではないでしょうか(文章だけで想像しにくい方は、本誌の方もぜひご確認下さい)。
敵の技を受け流し、己の技として相手に返す。天貫とは、柳生新陰流は転(まろばし)の応用なのかもしれません。天貫→転換→転みたいな。うーん、これはちょっと厳しいかな?
ところで真影目録とありますが、「新陰」ではなく「真影」なのですな。ゲームにおいては六波羅「新陰」流と表記されているので、村正世界でも柳生「新陰」流は存在していると思われますが、今回のは誤字かな?単行本での解説が待たれます。
≪御堂、真影兵法での戦いを進言致す≫
「月影を破られた。もはや無用である」
真影兵法とは、陰義・月影を主体した戦法の事と思われます。
十兵衛さんはここで月影の使用を断っていますが、仮に使われた場合、湊斗さん的にはもう一度同じ手段で月影を封じるのは肉体への負担的にキツそうです。
十兵衛さん自身視力が効かない状態なので、体に落ちた月影をキッチリ把握出来そうに無いから使用を断念したのでしょうか。あるいはもっと単純に、一度破られた技に固執する事を由としない潔い性格なのかもしれません。
◆決着の刻
とうとう目を瞑ったああああ!!??
どうせ効かぬのならと自ら視界を遮断しやがったぜ!(なんかもうこの辺りから、読んでいて変なテンションになってました。十兵衛さんマジ剣豪…
心眼状態の十兵衛さんは、湊斗さんから立ち昇る殺気をしかと感じ取ります。
「勝ちに猛った気は色に出る」と教示したばかりなのに、自分の忠告ガン無視でまるで隠そうともしない剝き出しの殺気に、十兵衛さんも冷や汗垂らしつつ思わず苦笑い。
先に仕掛けたのは湊斗さん。
十兵衛さんをして速いと言わしめた打ち込みですが、十兵衛さん自身は果敢にも踏み込み、突きを繰り出します。あるいは手首か拳を斬り落とそうと狙ったのかな?
しかしギリギリで湊斗さんは打ち込みを止め、右半身を引きつつ野太刀を下段に構え直し、踏み込んできた十兵衛さんを右薙ぎで迎撃。
ですがまたしても紙一重を見切られ、
頭上がガラ空きになる大ピンチ………かと思いきや、
十兵衛さんの刃は届かず──────
「吉野御流合戦礼法 虎眼が崩し」
こちらの迎撃を躱されるのは織り込み済みで、右薙ぎの勢いをそのままに、右足を軸に左回りに180度旋回。十兵衛さんの太刀の間合いからは離れつつ、野太刀の間合いにて上段が空振った直後の十兵衛さんを補足。
──────翔(かけり)
これにて決着。
◆虎がお主に翼を添えるか
虎眼をどう崩して翔になるのかは詳しくは単行本待ちですが、十兵衛さんの言葉が一つのヒントとなっているのかもしれません。
吉野御流合戦礼法 虎眼は、打つと見せて躱すフェイント技。
迎撃すると見せかけて十兵衛さんの上段を躱すところまでならただの虎眼かと思われますが、敵刃から逃げつつ相手の間合いの外から制するのは野太刀ならでは。
つまり虎眼というフェイント技を野太刀にて崩し、攻撃に繋げたのが翔………という風に解釈してみましたが、全然自信が無いですね。やはり単行本待ちですな。
電磁曲芸にて月影を破り、視力を奪い、電磁抜刀にて十兵衛さんの右前腕の筋を(若干)痛めさせ(穿使ってたったこれだけの被害ってのが泣けますが)、ここまで積み重ねてやっと五分に持ち込み、最後に読み勝ってようやく掴んだ勝利は正に見事の一言。
突破口を開いた曲芸は騎航中に使える技では無いようですし、双輪懸を捨てて地に降りた湊斗さんの判断は正しかったわけですなぁ。
そして十兵衛さんも、終始その名に恥じない恐るべき剣豪ぶりを発揮していました。
今月号の立ち合い、とても白熱した一戦でしたが、十兵衛さんは目が見えないまま戦い続けていたわけで…。こんな御仁、普通に双輪懸を続けてたら絶対勝てなかったでしょうね。
◆宮元武蔵…
≪御堂、陰義の発動を確認≫
やはり十兵衛さんが過去で戦っていた相手は武蔵でしたか。
しかしいきなり陰義を発動とはこれいかに…。次号が気になりまs………っておや?
遂に来たか、単行本フラグが(ゴクリ…
そして銃爺先生からはこんなツイートが。
https://twitter.com/gun_zi/status/296816689226604545
>これから単行本修正にはいりますが、さらにもう一歩進化したものをお届け出来ればと思いますので、よろしくお願いします!
なん…ですと!?
魔界編四巻…恐ろしくも楽しみだぜ…。
「虎がお主に翼を添えるか」ってのはウラムが始祖にいった「劒冑は人間に与えられた翼」にかかって「茶々丸(虎徹)がお主に翼を添えるか」って意味なのかな
by NO NAME (2013-01-31 20:39)
ウラムさんのセリフはすっかり忘れておりました!
私は単純に、勝敗の分かれ目は両者の得物の間合いの差、つまり虎(虎徹=茶々丸)が翼(間合い、もしくは翔)をもたらした…という風に解釈しておりました。
後藤氏が本編を熱心に研究されてる事を考えると、ウラムさんのセリフとかけているのが正解なのかもしれませんね。
by にしん (2013-01-31 21:28)
十兵衛さん・・・なんというか、純粋な剣の技量では村正世界最強なんでは。
目が見えない状態で穿を受け流すとかチートにも程があります(笑)
てかこれ以上の実力者とか、下手したら銀星号と同等かそれ以上の可能性すらありますね。
by 村正好き (2013-02-01 06:24)
為虎添翼
意味
強いものに、さらに勢いをつけること。
虎に翼を添えるともう、かなう者はいない。
by NO NAME (2013-02-01 13:49)
>村正好きさん
>目が見えない状態で穿を受け流すとかチートにも程があります(笑)
ですよねぇ!
月影を破って視力を奪った上で穿を使ったら誰だって詰みだと思いますもの。それをまさか正面から破るとは…。
>てかこれ以上の実力者とか、
武蔵さんは夜間に月影を使った十兵衛さんと双輪懸で互角以上の勝負をしていたようですし、一体どれほどの強さなのやら(ブルブル
by にしん (2013-02-01 19:57)
>為虎添翼
なんと!
つまり十兵衛さんは、虎徹で翔という技を使い自身を破った湊斗さんに対し、四字熟語にかけて賞賛していたという事なのでしょうか。
by にしん (2013-02-01 20:09)
解説乙です
武蔵キター
次々号の二天一流に期待マッハだぜ
by theBee (2013-02-03 00:15)
>theBeeさん
ありがとうございます!
二天一流とは必ずしも二刀流で戦うというわけでは無いそうですが、もし双輪懸で二刀流を描くとしたらどうなるのか今から楽しみですね!
by にしん (2013-02-03 16:34)